
2010年12月15日
「穂高編2011」のお知らせ
私がヨーガを学術的に教わってる先生で、昨年、私がタイ、インドへ行った際にお世話になり、またインドへ行くきっかけを頂いた相方先生が、来年6月に、長野の「穂高養生園」で合宿セミナー・シリーズ「穂高編2011」を企画される予定です
。
伝統的な知識に基づいたヨーガを総括的に学べる機会です。
どなたでも参加可能なので、興味ある方は検討されてみてください。
私も2009年に参加させて頂きました。その時の日記は
こちら
相方先生は1年の半分をインドでヨーガの研究期間にあてて、残り半分をタイの大学機関を中心にヨーガの指導をされてます。(在印20年、在タイ10年だそうです)
現在のヨーガの状況を客観的に見てみると、~ヨーガ/ヨガと名前の付いたものが沢山あり、一体どれを行っていったら良いのか分からず、またヨーガに対する期待と結果が一致せず、ただ闇雲にヨーガを行っているというのが現状の様に感じます。
そう言う私も2005年にサンフランシスコへヨーガの勉強へ行った当時は、ヨーガの全体像が把握できず、ヨーガに対して自分勝手な期待を込めながらただ只管にポーズを行ってました。
結局、ポーズを行い身体を動かすことで一時的に心身スッキリするのを味わうために行ってた様な気がします。
しかし、ヨーガの目的は、心の動きを一時的に止める(citta vrtti nirodhah)にあります。
相方先生にお会いしてからは、citta vrtti nirodhahへ向かう為の学術的な知識に基づき、ポーズに偏らず呼吸法、瞑想と段階的に、総体的に行っていくことの大切さを教えて頂きました。
また、インドで生まれたヨーガを異文化の私たちが理解する為には、一度フィルターを通してから理解しないと、ただの真似事になったり、鵜呑みにしてしまうと危ないとのこと。
以下は、相方先生が発信されてる「伝統的ヨーガ研究会(仮称)」(
どなたでも参加可能です)の回覧メールの転載です。
専門的な内容になりますが、伝統的なヨーガに興味ある方は目を通してみてください。
~「穂高編2011」のお知らせ~
「穂高編2011」のテーマは「穂高編2010」と同じく「伝統的ヨーガ・強化プロジェクト」です。
内容はモジュール形式でヨーガ学習プログラムを積み重ねる方式です。
これは、「ヨーガ」を「ヨーガ」としている本質的な部分の知識を、適切な学習モジュールの積み重ねで効率的に提供しようとする試みです。
現在、テーマ別のモジュール(試案)は次のように構成されています。
○「ヨーガの背景」
○「ヨーガのコンセプト」
○「アーサナ」
○「プラーナーヤーマ」
○「ムドラー」
○「ヨーガ・スートラ読解」
○「ハタ・ヨーガ文献の読解」
○「瞑想理論(Vipassana)」
○「ヨーガとアジアの精神文化」
etc......
●日程案
現在、来年6月の「穂高編2011」に向けて企画されているのは、次の4つのプログラム(3+1)です。
①6月 3日(金)- 5日(日):養生園主催・一般向けプログラム
②6月 6日(月)- 8日(水):森の家「アーサナ」「プラーナーヤーマ」
③6月10日(金)-12日(日):森の家「プラーナーヤーマ」「ムドラー」
+
④日程未定:森の家「ヨーガ・スートラ読解」「ハタ・ヨーガ文献の読解」
また、上記の日程以外にも、希望者の方が集まれば、特定のモジュールを強化した追加日程のプログラムの企画も可能です。
先行予約をお受けしていますので、興味のある方は、どうぞ、お早めにお問い合わせ下さい。
→ hhaikata@gmail.com
●プログラムの内容
①養生園主催・「ヨーガの背景」「ヨーガのコンセプト」
日程:2011年6月3日(金)-5日(日)の2泊3日
定員:25名
主題:伝統的ヨーガ・強化プロジェクト
内容:「ヨーガの背景」「ヨーガのコンセプト」
対象:一般向け(初心者から経験者、指導層まで)
施設:里の家・森の家・人と木とホール
費用:穂高養生園の標準的設定(昨年は4万2千円)。
予約:→ hhaikata@gmail.com
②森の家・「アーサナ」「プラーナーヤーマ」
日程:2011年6月6日(月)-8日(水)の2泊3日
定員:12名前後
主題:伝統的ヨーガ・強化プロジェクト
内容:「アーサナ」「プラーナーヤーマ」
対象:アーサナからプラーナーヤーマへの移行を志向する方
施設:森の家・人と木とホール
費用:実費分担+ドネーション
予約:→ hhaikata@gmail.com
③森の家・「プラーナーヤーマ」「ムドラー」
日程:2011年6月10日(金)-12日(日)の2泊3日+追加1日
定員:12名前後
主題:伝統的ヨーガ・強化プロジェクト
内容:「プラーナーヤーマ」「ムドラー」
対象:ご自分のヨーガ実習の深化を志向する方
施設:森の家・人と木とホール
費用:実費分担+ドネーション
追加:ご都合が付く方は1日追加13日(月)までの3泊4日
予約:→ hhaikata@gmail.com
④森の家・「ヨーガ・スートラの読解」「ハタ・ヨーガの文献」
日程:未定
定員:12名前後
主題:伝統的ヨーガ・強化プロジェクト
内容:「ヨーガ・スートラの読解」「ハタ・ヨーガ文献の読解」
対象:ヨーガの古典文献の理解に興味がある方
施設:森の家・人と木とホール
費用:実費分担+ドネーション
予約:→ hhaikata@gmail.com
2)ヨーガ学習モジュールの概要
現在構成されているヨーガ学習モジュールの概要です。
●「ヨーガの背景」
ヨーガの背景となっている、インドの歴史と文化、インド哲学やインドの宗教思想の流れや、1920年代からのヨーガの近代化のプロセスなどの背景知識について概説。
●「ヨーガのコンセプト」
ヨーガの基礎を構成している理論とそれに基づくスタンダードな技法群を確認。
●「アーサナ」
「ヨーガ・スートラ」で定義されている「アーサナ」のコンセプトと実習の方向性を確認し、「ハタ・ヨーガ」の「アーサナ」の技術について詳細に検討。
●「プラーナーヤーマ」
「ヨーガ・スートラ」で定義されている「プラーナーヤーマ」のコンセプトと実習の方向性を確認し、「ハタ・ヨーガ」の技法である「アヌローマ・ヴィローマ(ナーディー・シュッディ)」「ウジャーイー」「バストリカー」の技術について詳細に検討。
また、「クリヤー(浄化作法)」に分類されている「カパーラバーティ」についても理解を深めます。
●「ムドラー」
「ハタ・ヨーガ」の技法である「ムドラー(バンダを含む)」について「ハタ・ヨーガ」の伝統文献で確認、主要な「ムドラー・バンダ」の技術について詳細に検討。技術としての「ヨーガ」の全体像の把握と実習のレベルアップ。
●「ヨーガ・スートラ読解」
「ヨーガ」の理論面・哲学面の枠組みとなっているパタンジャリの「ヨーガ・スートラ」(紀元前3世紀頃)を、「第1章サマーディ・パーダ」と「第2章サーダナ・パーダ」を中心に読解。関連してインド哲学(正統派・非正統派)の全体像や、インドの心理学についての理解も深めます。
「ヨーガ・スートラ」には、わたしたち日本人が、
①よく知っていること
②なんとなく解っていること
③知らないこと
が混在するため、「スートラ」を消化して行くには①②③の仕分け作業と他のインド哲学の学派や仏教理論との関連付けが必要になります。
この作業によって、「ヨーガ・スートラ」の日本語訳を読むときにしばしば遭遇する不明瞭感や違和感が解消され、パタンジャリが「ヨーガ」の実習者に伝達しようとすることが、より明快になることが期待されます。
●「ハタ・ヨーガ文献の読解」
「ヨーガ」の技法面のリソースを提供している「ハタ・ヨーガ」の代表的な伝統文献「ハタ・プラディーピカー」と「ゲーランダ・サンヒター」を読解。
「ハタ・ヨーガ」の修行体系の理解を深めます。
わたしたちは、「ヨーガ」による健康の維持増進効果や、心身の不調への治療的な効果を期待していますが、そのための具体的な方法は「ハタ・ヨーガ」に伝承されています。
「ハタ・ヨーガ」は身体技法の宝庫です。
「ヨーガ」の理論面・哲学面の枠組みとなっているのは、パタンジャリの「ヨーガ・スートラ」(紀元前3世紀頃)ですが、「ハタ・ヨーガ」は10世紀頃成立したゴーラクシャナータ系のナータ派に伝承されて来た精神的修行法を構成するものです。
しかし、ナータ派はヒンドゥー教の伝統でも異端系に属するため、彼らの修行法である「ハタ・ヨーガ」も、近代に至るまではインドでも一般社会とは接点がありませんでした。
そのため、インドでも「ハタ・ヨーガ」についての理解は、非常に限られたものとなっています。
「ハタ・ヨーガ」の近代的な研究に着手したのが「カイヴァリヤダーマ研究所」の設立者のクヴァラヤーナンダ(1883-1966)です。
クヴァラヤーナンダは、「ハタ・ヨーガ」の技法の生理学・心理学的効果の実証的な研究と平行して、「ハタ・ヨーガ」の伝統文献の研究にも着手し、技法の正統性の確認と保全にも注力、そのため、ロナウラには「ハタ・ヨーガ」に関する資料と研究成果が蓄積されています。
「ヨーガ」の面白さは、「ハタ・ヨーガ」の多彩な技法群にあります。
「ハタ・ヨーガ」は身体技法から微細な内部感覚の領域へ向うアプローチを取るため、日頃わたしたちが自分自身のからだで
①よく実感していること
②なんとなく感じていても、それと自覚していないこと
③練習することで実感できること
が混在したおり、ただ「アーサナ」の練習を続けているだけでは、「ヨーガ体験」が深化して行かない傾向があります。
従って、わたしたちが「ハタ・ヨーガ」を消化して内部感覚を深化させて行くためには、伝統的文献の内容を良く把握することで、それぞれの技法の目的と効果を確認する作業が必要になります。
この作業を積み重ねることで、人間の身体と心の相互作用について、「ハタ・ヨーガ」の伝統がわたしたちに教えようとしていることが、より明快になることが期待されます。
また、「ハタ・ヨーガ」の技法の治療的な効果の正しい認識が深まることも期待されます。
●「瞑想理論(Vipassana)」
パタンジャリの8段階の「アシュタンガ・ヨーガ」の前半4段階の「バヒラーンガ・ヨーガ(外的ヨーガ)」は後半4段階の「アンタラーンガ・ヨーガ(内的ヨーガ・瞑想過程)」に進むための準備段階に相当します。
パタンジャリの「ヨーガ・スートラ」はインド哲学の正統派の6派哲学の一角を占めるため、ヒンドゥー教の保守本流であるバラモン文化の教養としての地位がありますが、実際にはバラモン文化では「サマーディ」の追求は奨励されません。
実際に「サマーディ」の追求を強調するのは、インド哲学の非正統派である仏教であり、ヒンドゥー教でも異端系のナータ派などのサドゥー文化です。
従って、「瞑想過程」についての洞察を深めるには、仏教系の瞑想技法についての理論的・哲学的枠組みと、具体的な実践方法を知ることが有益となります。
それは「ヴィパッサナー(Vipassana)」として、パーリ語文献の「マハー・サティパッターナ・スッタ」に記述されているものです。
仏教系の瞑想技法について知ることで、「ヨーガ」と瞑想との関連についての適切な理解が深まることが期待されます。
●「ヨーガとアジアの精神文化」
わたしたちは「ヨーガ」に、単なる健康法としてだけでなく、インドの精神文化の伝統に根ざした人生の指針や、心を豊かにする考え方のガイドラインを期待しています。
わたしたち日本人も、仏教思想を通じてインドの精神価値体系の影響を深く受けています。
古代インドに起源を持つ仏教はアジア全域に広まり、その土地の文化と融合しながら、多彩で多様なアジアの精神文化の伝統を醸成して来ました。日本にも日本の仏教思想と仏教文化の系譜があります。
そして、わたしたちがアジアの精神文化の伝統についての見聞と洞察を深めて行くことは、「ヨーガ」への理解を深めることにも、たいへん有効で有益なアプローチになり得ます。
その過程で、「ヨーガ」を学ぶことは、同時に、自分たちの存在のルーツにある精神文化を再発見し、再評価することに他ならない、という方向性の理解が深まることが期待されます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今後も、みなさんからのフィードバックに基づいて、効率的なヨーガの学習プログラムの構成作業を進めて行きたいと思います。
よろしく、ご理解とご支援をお願いしたいと思います。
(この項続く)
------------------------------------------------------------------◇
ご理解とご協力に、深く感謝いたします。
「ヨーガ」で健康で好運な毎日を送られることをお祈りしております。
H&H


伝統的な知識に基づいたヨーガを総括的に学べる機会です。
どなたでも参加可能なので、興味ある方は検討されてみてください。
私も2009年に参加させて頂きました。その時の日記は

相方先生は1年の半分をインドでヨーガの研究期間にあてて、残り半分をタイの大学機関を中心にヨーガの指導をされてます。(在印20年、在タイ10年だそうです)
現在のヨーガの状況を客観的に見てみると、~ヨーガ/ヨガと名前の付いたものが沢山あり、一体どれを行っていったら良いのか分からず、またヨーガに対する期待と結果が一致せず、ただ闇雲にヨーガを行っているというのが現状の様に感じます。
そう言う私も2005年にサンフランシスコへヨーガの勉強へ行った当時は、ヨーガの全体像が把握できず、ヨーガに対して自分勝手な期待を込めながらただ只管にポーズを行ってました。
結局、ポーズを行い身体を動かすことで一時的に心身スッキリするのを味わうために行ってた様な気がします。
しかし、ヨーガの目的は、心の動きを一時的に止める(citta vrtti nirodhah)にあります。
相方先生にお会いしてからは、citta vrtti nirodhahへ向かう為の学術的な知識に基づき、ポーズに偏らず呼吸法、瞑想と段階的に、総体的に行っていくことの大切さを教えて頂きました。
また、インドで生まれたヨーガを異文化の私たちが理解する為には、一度フィルターを通してから理解しないと、ただの真似事になったり、鵜呑みにしてしまうと危ないとのこと。
以下は、相方先生が発信されてる「伝統的ヨーガ研究会(仮称)」(

専門的な内容になりますが、伝統的なヨーガに興味ある方は目を通してみてください。
~「穂高編2011」のお知らせ~
「穂高編2011」のテーマは「穂高編2010」と同じく「伝統的ヨーガ・強化プロジェクト」です。
内容はモジュール形式でヨーガ学習プログラムを積み重ねる方式です。
これは、「ヨーガ」を「ヨーガ」としている本質的な部分の知識を、適切な学習モジュールの積み重ねで効率的に提供しようとする試みです。
現在、テーマ別のモジュール(試案)は次のように構成されています。
○「ヨーガの背景」
○「ヨーガのコンセプト」
○「アーサナ」
○「プラーナーヤーマ」
○「ムドラー」
○「ヨーガ・スートラ読解」
○「ハタ・ヨーガ文献の読解」
○「瞑想理論(Vipassana)」
○「ヨーガとアジアの精神文化」
etc......
●日程案
現在、来年6月の「穂高編2011」に向けて企画されているのは、次の4つのプログラム(3+1)です。
①6月 3日(金)- 5日(日):養生園主催・一般向けプログラム
②6月 6日(月)- 8日(水):森の家「アーサナ」「プラーナーヤーマ」
③6月10日(金)-12日(日):森の家「プラーナーヤーマ」「ムドラー」
+
④日程未定:森の家「ヨーガ・スートラ読解」「ハタ・ヨーガ文献の読解」
また、上記の日程以外にも、希望者の方が集まれば、特定のモジュールを強化した追加日程のプログラムの企画も可能です。
先行予約をお受けしていますので、興味のある方は、どうぞ、お早めにお問い合わせ下さい。
→ hhaikata@gmail.com
●プログラムの内容
①養生園主催・「ヨーガの背景」「ヨーガのコンセプト」
日程:2011年6月3日(金)-5日(日)の2泊3日
定員:25名
主題:伝統的ヨーガ・強化プロジェクト
内容:「ヨーガの背景」「ヨーガのコンセプト」
対象:一般向け(初心者から経験者、指導層まで)
施設:里の家・森の家・人と木とホール
費用:穂高養生園の標準的設定(昨年は4万2千円)。
予約:→ hhaikata@gmail.com
②森の家・「アーサナ」「プラーナーヤーマ」
日程:2011年6月6日(月)-8日(水)の2泊3日
定員:12名前後
主題:伝統的ヨーガ・強化プロジェクト
内容:「アーサナ」「プラーナーヤーマ」
対象:アーサナからプラーナーヤーマへの移行を志向する方
施設:森の家・人と木とホール
費用:実費分担+ドネーション
予約:→ hhaikata@gmail.com
③森の家・「プラーナーヤーマ」「ムドラー」
日程:2011年6月10日(金)-12日(日)の2泊3日+追加1日
定員:12名前後
主題:伝統的ヨーガ・強化プロジェクト
内容:「プラーナーヤーマ」「ムドラー」
対象:ご自分のヨーガ実習の深化を志向する方
施設:森の家・人と木とホール
費用:実費分担+ドネーション
追加:ご都合が付く方は1日追加13日(月)までの3泊4日
予約:→ hhaikata@gmail.com
④森の家・「ヨーガ・スートラの読解」「ハタ・ヨーガの文献」
日程:未定
定員:12名前後
主題:伝統的ヨーガ・強化プロジェクト
内容:「ヨーガ・スートラの読解」「ハタ・ヨーガ文献の読解」
対象:ヨーガの古典文献の理解に興味がある方
施設:森の家・人と木とホール
費用:実費分担+ドネーション
予約:→ hhaikata@gmail.com
2)ヨーガ学習モジュールの概要
現在構成されているヨーガ学習モジュールの概要です。
●「ヨーガの背景」
ヨーガの背景となっている、インドの歴史と文化、インド哲学やインドの宗教思想の流れや、1920年代からのヨーガの近代化のプロセスなどの背景知識について概説。
●「ヨーガのコンセプト」
ヨーガの基礎を構成している理論とそれに基づくスタンダードな技法群を確認。
●「アーサナ」
「ヨーガ・スートラ」で定義されている「アーサナ」のコンセプトと実習の方向性を確認し、「ハタ・ヨーガ」の「アーサナ」の技術について詳細に検討。
●「プラーナーヤーマ」
「ヨーガ・スートラ」で定義されている「プラーナーヤーマ」のコンセプトと実習の方向性を確認し、「ハタ・ヨーガ」の技法である「アヌローマ・ヴィローマ(ナーディー・シュッディ)」「ウジャーイー」「バストリカー」の技術について詳細に検討。
また、「クリヤー(浄化作法)」に分類されている「カパーラバーティ」についても理解を深めます。
●「ムドラー」
「ハタ・ヨーガ」の技法である「ムドラー(バンダを含む)」について「ハタ・ヨーガ」の伝統文献で確認、主要な「ムドラー・バンダ」の技術について詳細に検討。技術としての「ヨーガ」の全体像の把握と実習のレベルアップ。
●「ヨーガ・スートラ読解」
「ヨーガ」の理論面・哲学面の枠組みとなっているパタンジャリの「ヨーガ・スートラ」(紀元前3世紀頃)を、「第1章サマーディ・パーダ」と「第2章サーダナ・パーダ」を中心に読解。関連してインド哲学(正統派・非正統派)の全体像や、インドの心理学についての理解も深めます。
「ヨーガ・スートラ」には、わたしたち日本人が、
①よく知っていること
②なんとなく解っていること
③知らないこと
が混在するため、「スートラ」を消化して行くには①②③の仕分け作業と他のインド哲学の学派や仏教理論との関連付けが必要になります。
この作業によって、「ヨーガ・スートラ」の日本語訳を読むときにしばしば遭遇する不明瞭感や違和感が解消され、パタンジャリが「ヨーガ」の実習者に伝達しようとすることが、より明快になることが期待されます。
●「ハタ・ヨーガ文献の読解」
「ヨーガ」の技法面のリソースを提供している「ハタ・ヨーガ」の代表的な伝統文献「ハタ・プラディーピカー」と「ゲーランダ・サンヒター」を読解。
「ハタ・ヨーガ」の修行体系の理解を深めます。
わたしたちは、「ヨーガ」による健康の維持増進効果や、心身の不調への治療的な効果を期待していますが、そのための具体的な方法は「ハタ・ヨーガ」に伝承されています。
「ハタ・ヨーガ」は身体技法の宝庫です。
「ヨーガ」の理論面・哲学面の枠組みとなっているのは、パタンジャリの「ヨーガ・スートラ」(紀元前3世紀頃)ですが、「ハタ・ヨーガ」は10世紀頃成立したゴーラクシャナータ系のナータ派に伝承されて来た精神的修行法を構成するものです。
しかし、ナータ派はヒンドゥー教の伝統でも異端系に属するため、彼らの修行法である「ハタ・ヨーガ」も、近代に至るまではインドでも一般社会とは接点がありませんでした。
そのため、インドでも「ハタ・ヨーガ」についての理解は、非常に限られたものとなっています。
「ハタ・ヨーガ」の近代的な研究に着手したのが「カイヴァリヤダーマ研究所」の設立者のクヴァラヤーナンダ(1883-1966)です。
クヴァラヤーナンダは、「ハタ・ヨーガ」の技法の生理学・心理学的効果の実証的な研究と平行して、「ハタ・ヨーガ」の伝統文献の研究にも着手し、技法の正統性の確認と保全にも注力、そのため、ロナウラには「ハタ・ヨーガ」に関する資料と研究成果が蓄積されています。
「ヨーガ」の面白さは、「ハタ・ヨーガ」の多彩な技法群にあります。
「ハタ・ヨーガ」は身体技法から微細な内部感覚の領域へ向うアプローチを取るため、日頃わたしたちが自分自身のからだで
①よく実感していること
②なんとなく感じていても、それと自覚していないこと
③練習することで実感できること
が混在したおり、ただ「アーサナ」の練習を続けているだけでは、「ヨーガ体験」が深化して行かない傾向があります。
従って、わたしたちが「ハタ・ヨーガ」を消化して内部感覚を深化させて行くためには、伝統的文献の内容を良く把握することで、それぞれの技法の目的と効果を確認する作業が必要になります。
この作業を積み重ねることで、人間の身体と心の相互作用について、「ハタ・ヨーガ」の伝統がわたしたちに教えようとしていることが、より明快になることが期待されます。
また、「ハタ・ヨーガ」の技法の治療的な効果の正しい認識が深まることも期待されます。
●「瞑想理論(Vipassana)」
パタンジャリの8段階の「アシュタンガ・ヨーガ」の前半4段階の「バヒラーンガ・ヨーガ(外的ヨーガ)」は後半4段階の「アンタラーンガ・ヨーガ(内的ヨーガ・瞑想過程)」に進むための準備段階に相当します。
パタンジャリの「ヨーガ・スートラ」はインド哲学の正統派の6派哲学の一角を占めるため、ヒンドゥー教の保守本流であるバラモン文化の教養としての地位がありますが、実際にはバラモン文化では「サマーディ」の追求は奨励されません。
実際に「サマーディ」の追求を強調するのは、インド哲学の非正統派である仏教であり、ヒンドゥー教でも異端系のナータ派などのサドゥー文化です。
従って、「瞑想過程」についての洞察を深めるには、仏教系の瞑想技法についての理論的・哲学的枠組みと、具体的な実践方法を知ることが有益となります。
それは「ヴィパッサナー(Vipassana)」として、パーリ語文献の「マハー・サティパッターナ・スッタ」に記述されているものです。
仏教系の瞑想技法について知ることで、「ヨーガ」と瞑想との関連についての適切な理解が深まることが期待されます。
●「ヨーガとアジアの精神文化」
わたしたちは「ヨーガ」に、単なる健康法としてだけでなく、インドの精神文化の伝統に根ざした人生の指針や、心を豊かにする考え方のガイドラインを期待しています。
わたしたち日本人も、仏教思想を通じてインドの精神価値体系の影響を深く受けています。
古代インドに起源を持つ仏教はアジア全域に広まり、その土地の文化と融合しながら、多彩で多様なアジアの精神文化の伝統を醸成して来ました。日本にも日本の仏教思想と仏教文化の系譜があります。
そして、わたしたちがアジアの精神文化の伝統についての見聞と洞察を深めて行くことは、「ヨーガ」への理解を深めることにも、たいへん有効で有益なアプローチになり得ます。
その過程で、「ヨーガ」を学ぶことは、同時に、自分たちの存在のルーツにある精神文化を再発見し、再評価することに他ならない、という方向性の理解が深まることが期待されます。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今後も、みなさんからのフィードバックに基づいて、効率的なヨーガの学習プログラムの構成作業を進めて行きたいと思います。
よろしく、ご理解とご支援をお願いしたいと思います。
(この項続く)
------------------------------------------------------------------◇
ご理解とご協力に、深く感謝いたします。
「ヨーガ」で健康で好運な毎日を送られることをお祈りしております。
H&H
